director's voice

ヒグチエリさん 布装身具 神奈川

Q1
布に刺繍などを施して装身具を制作するヒグチリエさん。
「工房からの風」には、どのような作品を出品なさいますか?

A1
日々の中で目にする身近な植物や、
海で拾い上げた自然界の美しい造形からイメージを膨らませて制作した、
刺繍のブローチや耳飾りをお持ちします。
海岸で石ころや貝殻を拾うような、
散歩道で落ち葉を拾うような
そんな小さな発見を楽しみにブースにお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、
空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
工房の中で大切にしている場所は「庭」です。
庭のある家に越してきて3年目になりますが
植物があることで身近に「循環」を感じることが出来ます。
人も循環の中にいるのだなあと日々感じています。
そして根がしっかり張ると植物は強いものです。
庭から教わることが沢山あります。

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Q3
ヒグチエリさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
私の中のものづくりの種火は20歳前半の頃、
糸や手芸素材、作家さんの作品やCDを扱っているあるお店に出会い、そこに並んでいた「温度のあるもの」に当時心惹かれました。
手でつくることの楽しさや手でつくられたものをしっかりとその温度と共に伝えている店主さんは尊敬する存在です。

糸という素材を選んだのはもちろんそのお店と店主さんに出会ったことも大きいのですが
糸というものが私と何かを「繋ぐ」ものとして作用するのではないかと思いました。

自然界の美しい造形や草花の色に感動し、
それを糸に置き換えて刺繍することで
その時の記憶と感動を見えないところで繋いでくれているかもしれない。

また刺繍をすることが文章を綴ることや音楽を奏でることに繋がるかもしれない。

そんなことを思って制作した作品がただの装身具だけではなく、
見て触れて感じる詩のようなものであれば良いなと思っています。

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ヒグチエリさんの布の装身具。
かわいらしくって、素敵で、美しい。
身に着けていると、センスのよさが伝わってくるようなものばかり。

けれど、そこには表面的なことではなくて、
内側からじんわり表に現れてくるような確かさがあります。
表面的なデザインだけを真似ても、きっとこうにはならないようなオリジナリティー。

ひとつひとつの作品は声を出さないけれど、
作品群で見た時に作家の想いにより触れられるような気がします。
すると、その先の作家の営みに関心が湧いてきます。

ヒグチエリさん、これからどんな風な制作をされていくのかなぁ。
もしかすると、この会がターニングポイントになって、
よりひとつひとつの密度や重力のこもった制作に移っていかれるのでは?
そんな想像もしてしまいます。

(そして、お庭、素敵ですね――。
ふかぶかとしていて・・・)

ヒグチエリさんの出展場所は、スペイン階段前。
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